文部科学省は、「次世代X-nics半導体創生拠点形成事業」を開始しました。
カーボンニュートラル2050やデジタル社会の実現、経済安全保障の確保に向けて重要な役割を果たす革新的半導体集積回路の創生を目的とし、我が国の強みを活かした研究開発及び人材育成の中核的なアカデミア拠点形成を行う事業です。
その1つの拠点として、東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター (d.lab)の提案「Agile-X ~革新的半導体技術の民主化拠点(以下、本拠点)」が採択されました。
本拠点は、2022年度から31年度までの足かけ10年間で、世界に大規模集積回路(LSI)の民主化をもたらすことを目標とします。
多様なアプリケーションに最適な半導体チップを迅速に活用しイノベーションを興すことが、新しく強い産業の創成と発展につながります。
そのためには、半導体集積回路が「特別な」ものから「誰にでも容易に実現できる」ようにすることが必要です。これを半導体技術の民主化と呼びます。
民主化を実現する基幹技術(Agile技術)を整備し、プラットフォームとして研究に展開し、研究成果・産業への波及効果・高度人材の育成を狙います。
多くの人が専用チップを開発できること(民主化)で世界を変える技術を創出できます。
Agile開発プラットフォームで半導体の民主化を推し進め、Agile-X拠点が世界の頭脳を惹きつけ、日本の財産である素材・製造装置産業と人材の高度化を目指します。
チップのAgile開発プラットフォームを創出し(アイデアから試作に至る期間を1/10へ短縮、試作に要する費用を1/10へ削減)、世界中の研究者や関連企業を呼び込むことでLSIを民主化(LSIの設計人口を10倍増し)することを目指す。
東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター (d.lab)等の研究者を結集し、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limitedとの戦略的提携、先端システム技術研究組合(RaaS)による産学連携等の枠組み、さらにVDEC活動でのアカデミック全国ネットワークおよび国内外メーカーとの協力体制を活かして、革新的設計・試作効率化技術(Agile技術)に関する研究開発及び、IoT、AI、通信等の各分野に関する革新的技術とAgile技術との掛け合わせによる各分野の新展開に資する研究開発を推進する。
また、我が国の半導体産業基盤強化のために、「ハードとソフトを高度に融合してイノベーションを創出できる人材」「システムから回路・デバイスまでを一気通貫で見通せる人材」の育成を目指す。九州地区の大学等との連携を通じ、拠点における人材育成の取り組みの横展開を積極的に推進する。